座敷童との思い出

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17 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 04/05/13 09:04 ID:/ssLzV2y

酒の勢いもあったのだろう。いつになく饒舌だった。
しかし、その内容はあまり軽い話ではなかった。
以前父は私が山中で邂逅した女性は自分が昔遊んでいた、座敷童ではないかと言っていた。
その、座敷童との思い出だった。
不思議なようで、それでいて何の変哲もない子供の頃の思い出話にも聞こえた。
今では懐かしい昔ながらの遊びをしたそうだ。
問題はそこではない。遊んでるぶんにはいいのだ。
いや、ひょっとしたら遊びの一環だったのかもしれない。
子供の好奇心からなのか、単にマセていたのか、愛し合ってしまったのかは知らないが、
とにかくそれは起こったらしい。
その後もしばらくは少女は現れていたらしいのだが、ある日ぱったりと現れなくなったそうだ。
父はたいそう落ち込んだそうだ。

その話を「このエロ親父が」などと思いつつ聞いていた私だが、
父が、また不思議な体験をした私をその少女と結び付けたがるのも分かる気がした。
父にとって、掛け替えのないのと同時に悔やまれる思い出なのだろう。



18 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 04/05/13 09:07 ID:/ssLzV2y

私は考えた。
父の言うとおり、あの女の人がその時の座敷童なんだろうか。
しばらく考えて、私はその説は認められないと思った。
もし、本当にあの女性が件の座敷淑女だったとしたら、
嫌な仮説や想像が浮かび上がってくるからだ。
一人であんな廃墟にいたのも、
あの崩れ落ちた腕も、父との事のせいではないか?
父の言うとおり、彼女は私が父に似ているから近づいたのか、
もしかしたら、ただ自分の子供に会いたかっただけなのではないか?
私の中に何か得体の知れない縁が潜んでいるのではないか。
何より洒落にならない事に、私は彼女をママと呼んだ。
そして、もしそうだったとしたらあの時逃げ出してしまった私を見て何を思ったのか。
あの崩れ落ちる前に見せた、必死に何かを我慢するような苦しそうな顔。
すがる様に後ろから届いた「待って!!」という言葉。

全ての後味が何倍も悪くなる。悔やんでも悔やみきれなくなる。
会って言いたいこと、聞きたいことは山ほどあるが、その道も絶たれてしまった。


私はあの女性は山の神様か何かではないかと考えている。



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