鮎釣り

前へ 次へ

683 名前: あなたのうしろに名無しさんが・・・ 04/06/10 16:18 ID:dEkgge9G

快晴の初夏、鮎釣りにでかけた。
鮎ってやつは縄張り意識が強い。養殖鮎を生きたまま釣り針にかけてオトリとし、
周りに剥き身の針を流しておくと、ケンカしてきた天然鮎が引っかかるという寸法だ。
朝から渓流にスネまでつかり鮎釣りを楽しんでいた。

ふと気付くと、普段釣り人でにぎやかなその川に、自分ひとりだけになっている。
まだ昼過ぎだというのに、車一台通らない。
奇妙な静けさに、彼は少々薄気味悪くなった。

その時、サオが大きくしなった。
かつてない強いアタリに、彼は大物を確信し有頂天になった。
喜びいさんで、糸をたぐり寄せた途端、唐突に抵抗がなくなった。

がっかりした彼がサオを片付けようとして見た物は、
頭だけ残して食いちぎられたおとり鮎だった。
首だけの鮎は二、三回口をゆっくりパクパクさせた後、息絶えた。
突然、すさまじい冷気が川下から押し寄せ、彼は大慌てで家に逃げ帰った。




Part9 に戻る
SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送